日本の技術は昔から世界的に優れているとの評価を受けてきましたが、新型コロナウイルスの流行によって、世界市場や日本の研究開発に大きな影響がありました。世界的にチップ不足が深刻になり、新しい電子機器の需要がますます高まる中、仕事や余暇の時間を家で過ごす人が増えました。その結果、業界関係者は2021年の目標を再設定し、方向性を大きく転換しようとしています。
ICT(Information and Communications Technology:情報通信技術)は、新テクノロジーと融合し、我々の生活を一変させる画期的なシステムをもたらしつつあります。データがミリ秒以下で分析され、農場から食卓までシームレスに食料が供給され、AI技術が環境保護のあり方を変えていく世界がもうそこまで来ているのです。
量子コンピュータ
量子コンピュータは、量子が同時に0または1の値を持つという特徴を利用したコンピュータ技術であり、従来型のコンピュータ技術を大胆に躍進させるものです。現時点では、実用的技術に応用することは理論的には困難とされていますが、日本国内では積極的な研究開発プロジェクトが進められています。
材料の研究、薬の改良、物理現象の解明、科学の基礎理論の構築など、量子コンピュータの実用可能性は多岐にわたります。
スマート・ファーミング
人口減少社会を迎えた日本では、多くの若者が都市部での就職を希望しているため、ICT企業は農業分野の人手不足を利用して、スマート農業技術を導入しています。2018年の食料自給率は37%にとどまり、日本政府が目標とする45%の自給率を達成するには大きな困難が伴うとされています。日本の農業従事者の平均年齢がおよそ67歳であることを考えると、この数字はさらに悲惨といえるでしょう。
農業データ連携基盤(通称WAGRI)には、明確な利点が2つあります。まず、多様なデータが提供され、綿密に保管されていること。そして、そのデータを検証・調整することによって、1年単位で農作物の収量を最適化できることです。これらのデータは、気象、土壌、地理、生育予測などのデータを分析する最先端のAPIが収集します。
近年、気候変動の影響により毎年の収穫の信頼性が損なわれ、さらに予期せぬ天候パターンが襲う中、スマートなWAGRIの技術はいい投資となるでしょう。ぜひともこの革新的な新技術に期待したいところです。
AI
人工知能(AI)は、気候変動による大規模なデータ分析、想定外の天候パターンの早期発見、エネルギーインフラの再設計など、今後の困難を解決するための効率的な開発技術であると考えられます。2021年3月、情報科学技術研究機構および富士通は、人工知能を搭載した量子コンピュータ「富嶽」の共同利用を開始すると発表しました。
政府は2050年までに日本をカーボンニュートラルにすることを目標としており、日本のグリーンエネルギー分野は投資対象としてリスクの少ない分野であるといえます。とりわけ、新しい人工知能による処理性能の高いコンピュータが、次世代の電気自動車、バッテリー、再生可能バッテリー等への道を開く可能性には期待できます。ちなみに、グーグルで「日本 SDG」と検索すると、持続可能な未来に向けた日本のコミットメントの数々を知ることができるので、ぜひ参考にしてみてください。